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【シンポジウム】「地域連携におけるアドバンス・ケア・プランニング(ACP)」(第60回日本老年医学会学術集会)

2018年6月15日、第60回日本老年医学会学術集会のシンポジウム「(倫理委員会企画) 地域連携におけるアドバンス・ケア・プランニング(ACP)」において、弊社団共同代表の蔵本がシンポジストとして登壇しました。異なる現場で活動する4名のシンポジストが、それぞれの取り組みや現場で得た知見を報告し、その後にフロアからの質疑にお答えする形のセッションとなりました。

J-GLOBAL ID:201802266341633304:http://jglobal.jst.go.jp/public/201802266341633304

「地域でのアドバンス・ケア・プランニング啓発のあり方」近年、医療者の間でアドバンス・ケア・プランニング(以下ACP)への関心が高まっている。しかし一般市民が医療者と共にACPに取り組む機会は乏しく、ACPに関心を持つ医療者も「自分ごと」としてこれに取り組む人は少ない傾向にある。我々は、2013年から当院の診療圏である千葉県南房総地域において、医療・介護・福祉職や大学生を含む地域住民を対象にACPワークショップ(以下WS)を開始した。WSでは、①事前準備の必要性と代理決定に付随する困難さの自覚、②自己の価値観の確認と対話の2つをテーマに設定し、グループワークを通じてACPへの主体性や準備性を段階的に高めることを目標としている。参加者は対話の中で価値観の多様性を実感し、時には自己の価値の揺らぎ・変容をも経験する。また、活動の過程で、我々医療者も「自分ごと」としてACPを考える意義を実感するとともに、多様性、個別性に配慮した啓発活動の重要性を強く感じるようになった。これまでWSに参加した行政や介護福祉事業所の職員からは、この活動に主体的に関わりたいとの声が聞かれており、その輪は広がりをみせている。この活動が個人や地域にどのような影響をもたらすかはわかっておらず、中・長期的な視点を含めて検証していく必要がある。地域住民との対話を継続しながら、全ての成人を対象としたACP啓発のあり方を共に考え、柔軟に対応できる仕組みを構築していきたい。