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【シンポジウム】「ACPの本質であるコミュニケーションのきっかけ作り」(第23回日本緩和医療学会学術集会)

2018年6月16日、第23回日本緩和医療学会学術集会(神戸)のシンポジウム「ACPの本質であるコミュニケーションのきっかけ作り」において、弊社団共同代表の蔵本がシンポジストとして登壇しました。当日はJudith A.C. Rietjens先生(Associate professor, Department of Public Health)、山本瀬奈先生(社会医療法人博愛会 相良病院)、Anthony L. Back先生(Professor of Medicine, Division of Medical Oncology, University of Washington,Co-Director, Cambia Palliative Care Center of Excellence)らと共に、もしバナゲームを用いた地域での取り組みについて発表いたしました。どの発表も非常にユニークで示唆に富んだ内容であり、学びの多い時間となりました。

SY34-2 一般市民へのツール(もしバナゲーム)を用いたACPコミュニケーション もしバナゲームTMを用いた取り組み
近年、医療者の間でアドバンス・ケア・プランニング(以下ACP)への関心が高まりつつあるが、一般市民が医療者とACPに取り組む機会は少ない。2013年から当院の有志とともに診療圏である安房地域において、医療・介護・福祉職や大学生を含む地域住民を対象に、ACPの意義や代理意思決定に付随した困難さの自覚をテーマとするワークショップ(以下WS)を開始した。2014年には新たにカードゲーム(もしバナゲーム™️)を用いたWSを追加した。このゲームは人生の最終段階を想定して個々の価値観を確認するためのツールである。WSでは主体的な参加を条件に、これを複数人のレクリエーション形式で用いている。参加者はゲームを通じてお互いの価値観を確認すると共に、目の前の他者の価値観に触れることで多様性を実感し、時には己の価値観の揺らぎ・変容をも経験する。一連のWSの参加者からは、自らが「自分ごと」としてACPに取り組むことの必要性に気づいたり、このゲームを用いた啓発活動に主体的に関わりたいという声も聞かれ、その輪は広がりを見せている。一連のWSを通じた取り組みから、地域住民と医療者がACPコミュニケーションを始めるためのきっかけとして、もしバナゲーム™️の活用法や使用時の注意点、地域における可能性とその課題について考察する。